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パワハラ防止法を例に条文の読み方をみてみましょう

今回は、法律の条文の読み方についてお話しします。

今年の4月から施行されるいわゆるパワーハラスメントの防止に関する法律

(正式名称「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」の第三十条の二

条文は次のとおりです。

わかりにくいとは思いますが、ついてきてください。

「第三十条の二

事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」

 

まず、1項にパワハラの定義があります。この定義によって、パワハラかどうかを振り分けます。

条文をよく見てください。少し脱線します。

条文に「1」という数字がついていません。これは誤脱ではありません。そのあたりの事情を調べてみました。昭和23年以前は、2項以下についても、2などという表示はしていなかったようです。そもそも 2項以下には、わかりやすいように頭に項番号を振るという法制上のルールができたらしいです。なぜ、そのルールができたかというと、それ以前は、項の初字を1字下げるというルールだったのですが、一字下げるだけではわかりにくい。そこで、さらにわかりやすくするため数字も振るようになった、とのことです。

さて、本筋に戻りましょう。

ふつうは文章を、まるっと全体として読んでしまいますが、法律の文章を読む場合は、そういうわけにはいきません。文章を細かくパーツに分解して読むことが必要です。

このようにものごとを分解していくというのは近代の科学的な考え方ですね。

私たちの生活を規律している近代法も、いわゆる要素還元主義的な考え方をもっています。

要素還元主義というのは、「複雑な物事でも、それを構成する要素に分解し、それらの個別(一部)の要素だけを理解すれば、元の複雑な物事全体の性質や振る舞いもすべて理解できるはずだ、と想定する考え方」のことです。

いいですか。これは複雑だと思っても、分解して細かくすれば理解できるのです。それぞれの学問によって、分解のやりかた、切り分け方などが異なっています。この考え方は、ビジネスにも利用できますし、それ以外にも、いろいろと応用ができると思います。

法律学の場合ですと、人と人との関係や、人とモノとの関係について、権利義務関係に分解して考えます。権利義務関係ですから、そこにストレートに人情は入りません。あなたと誰かの人の関係は権利義務があるかどうかで判断されるのです。だから法律は冷たいと言われたりします。

まだ本筋に戻れませんでした。

さて、パワハラの定義でしたね。この定義を、いくつかの要素に分解してみましょう。

いくつかの要素に分解していくと、

  • 「職場において行われる」
  • 「優越的な関係を背景とした」
  • 「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により」
  • 「就業環境を害すること」

が要素であることがわかります。

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