パワハラによって生じる責任
企業においてパワハラが発生した際、加害者と会社が負う責任についてです。
①パワハラ加害者の負う責任
被害者がパワハラによって精神的苦痛を被った場合、加害者は民事上の不法行為
責任として損害賠償責任を負うことが考えられます。
パワハラが暴力で、被害者が怪我をしたらその治療費等の賠償責任を負います。
さらに暴行罪・傷害罪という刑事責任を負うこともあります。
被害者の名誉を傷つけるような形でのパワハラだった場合、名誉棄損罪や
侮辱罪が成立するかもしれません。
会社と加害者との関係では、通常、パワハラ行為は就業規則の懲戒事由に
該当するので、会社から懲戒処分(一番重ければ懲戒解雇処分)を受ける
ことも考えられます。
②会社の負う責任
従業員がパワハラを行った場合、会社も被害者に対して不法行為責任としての
使用者責任を負います。
使用者責任というのは、従業員が業務の中で誰かに損害を与えた場合に、その従業員を
雇っている会社も損害賠償責任を負うというものです(民法715条)。
また会社は労働契約に付随して生じる義務として「働きやすい職場環境を作る義務」や
「安全配慮義務」を負っており、その義務を怠ったとして、債務不履行責任に基づく
損害賠償責任を負うこともあります。
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