債務整理
個人の方が生活を送るうえで、家や車など大きな買物をしたり、子供の学費や入院等の臨時的出費など、どうしても自分の収入だけでは賄いきれず、借入に頼ることになる状況があると思います。多くの場合には、金融機関等から借入をして物を購入したり、臨時的な出費を乗り切ることが考えられます。
もっとも、その後、思い通りの収入を得ることが難しくなったり、場合によっては収入が断たれるなど、想定外の状況が発生することがあり、思うように借金の返済ができない場合もあります。
その場合、借金を負ったまま生活を送るということは、精神的にも大変つらいものです。仮に借金を返せないまま放置していた場合、給料を差押えられるなどして、現在の生活を維持できなくなる可能性もあります。
そこで、早めに、弁護士に相談して、適切に借金関係を整理する必要があります。
弁護士に依頼すれば、債権者からの請求はすぐに止まりますので、請求から一息つくことができます。ただし、その後に借金を整理しなければ、再び請求がなされることになります。
借金を整理する場合には、どのような手段を取ったとしても、一定期間ブラックリストに載ってしまい、新たな借入がしにくくなる可能性があるなど、いくつかのデメリットがありますが、多くの場合、それを上回るメリットがあります。
任意整理
任意整理とは、借金の分割返済等を求めて、債権者と交渉するという方法をいいます。
任意整理のメリット
・将来の利息がカットされること(交渉成立時までの利息は発生することが多いです)
・整理する借金を選べること(特定の会社や親族等からの借金などを除外できます)
・保証人に対して請求がなされないこと
・持ち家などの財産が残せること等
任意整理のデメリット
・元本について3年~5年程度で分割返済しなければならないこと
・債権者の同意が得られなければ借金が整理できないこと
個人再生
個人再生とは、民事再生法に則り裁判所に認めてもらった再生計画に従って、一定の金額を3年~5年で分割返済すれば、残りの借金が免除されるという方法をいいます。
個人再生のメリット
・(多くの場合には)借金が5分の1に減額されること
・持ち家などの財産が残せること(ただし、住宅ローンは通常通りの返済が必要です)等
個人再生のデメリット
・不安定な収入状況だと利用できないこと(定期的な収入があることが前提の制度です)
・整理する借金が選べないこと(債権者平等の原則が適用されます)
・保証人に対して請求がなされること
・多くの場合、裁判所から選任される個人再生委員の報酬分の積み立てが必要となること(申し立てをする裁判所によって扱いが異なることがあります)
破産
破産とは、破産法に則り裁判所の手続を通じて、所有する財産を全て処分して、債権者に平等に返済することにより、残りの借金が免除されるという方法をいいます。
破産のメリット
・借金が0円になるため、収入がなくても利用できること
・原則99万円までの財産は保有することができること
破産のデメリット
・原則として99万円を超える財産を全て処分しなければならないこと(不動産は原則として処分することになりますので、引っ越し等を検討する必要があります。)
・整理する借金が選べないこと(債権者平等の原則が適用されます)
・保証人に対して請求がなされること
・ケースによっては、裁判所が選任する破産管財人の報酬を用意する必要があること(申立時に予納金として裁判所に収める必要があります)
以上のとおり、債務整理にも様々な方法がありますので、どの方法を選択するのがよいのか、早めに弁護士にご相談ください。