会社経営者や自営業者の離婚・財産分与について

離婚時に財産分与をする場合には,どのように分けるかを決めなければなりません。


 一見簡単なようですが,そのためには,①財産の評価方法,②分与の方法,の2点を決める必要がありますから,難航するケースも多々あります。
預金など金額が明確なものが多い場合には計算はし易い傾向にありますが,
・不動産
・株式(特に経営者の方で自社株を持っている場合)
・為替,投資信託などの金融商品
・暗号資産
などをお持ちの方は,①財産の評価方法について対立が起こりやすく,そのため,容易く分与額を計算することができないことになります。

 また,自社株などはその評価方法に争いが生じやすい一方で,会社の経営権に直結する財産であるため,経営者側としては,何としても離婚する配偶者から自社株の名義変更をしなければならない状況に陥ることとなります。
 こうした事情から,会社経営者や自営業者の方のような立場の方の離婚については,手続に時間を要することが多い傾向にあります。
 また,離婚する配偶者の立場から見れば,会社経営者や自営業者の方の財産の全容を把握することが難しいケースが多く,隠し財産があるのではないかといった疑念や,会社名義であっても実態は個人資産と同視できるのではないかといった主張をする場合が多々あります。

 財産分与については,令和8年4月に民法改正があり,一部制度が変わりました。
①それ以前は,離婚後2年以内に財産分与の請求を行う必要がありましたが,これが5年となり,
②財産分与は原則2分の1ずつ分けるということが法律に明記され,
③財産に関する情報の開示命令という制度が創設されました。

 調停や審判の手続において、裁判所が当事者に対し、財産を明らかにするために必要な情報(例:預貯金通帳の取引履歴など資産に関する資料)の提出を命じることができる制度です。
 命令には強制力があり、正当な理由なく従わなかった場合(虚偽情報の開示も含みます)には、10万円以下の過料の制裁が科される可能性があります。
 非協力的な配偶者によって,財産分与が難航していたケースでは,この制度を利用することで財産の内容を把握できる効果が期待できます。