婚姻費用の調停において,住宅ローンの金額を考慮し,通常よりも,婚姻費用を低額にすべきだという主張をする方がいます。
住宅ローンについては,資産形成のための費用に当たると考えられるため,その支出を理由に,婚姻費用の額を減じることは,資産形成を生活保持義務に優先させることになるため,原則として認められません。あくまで財産分与で考慮すべき事情であり,婚姻費用算定では考慮しないとされています。
典型例としては,婚姻費用を支払うべき夫が,自宅のローンを払っている場合です。登記が共有であっても,結論に変わりありません。また,夫が自宅を出ており,妻が自宅に暮らしている状態で,夫が住宅ローンの支払いを継続している場合でも,その精算は財産分与で行うものであり,婚姻費用としては考慮しないケースがほとんどです。
しかし,例外もあります。例えば,先ほどの例とは異なり,婚姻費用を支払っている夫が自宅に住んでおり,婚姻費用を受け取るべき妻がローンを払っているようなケースです。このような場合には,住宅ローンの全部または一部を,婚姻費用に加算する例があります。
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