離婚に伴う財産分与と課税について

離婚に伴う財産分与を検討する際に,よく財産分与は非課税ですよね,と質問をされます。

確かに,財産分与については原則として非課税となります。しかし,不動産・株式・ゴルフ会員権等の財産分与時点の時価での譲渡をしたこととなりますから,取得した金額から分与の際までに価値が上昇している場合には値上り益を譲渡所得として,所得税が課税されます(最判昭50・5・27民集29・5・641,所基通33-1の4)。

また不動産取得税についても,原則として非課税ですが,扶養的財産分与とみなされる場合や慰謝料を目的とする場合などには課税対象となるとされています。

財産分与に伴い,預貯金のみを折半するようなケースについて課税が問題になるケースは少ないと思いますが,財産分与の分与割合に偏りがある場合,不動産など資産価値が大きく,その価値が預金のように一目瞭然ではなく評価を要するものを分与する場合などには,必ず課税の問題をご検討いただく方が良いと思います。せっかく財産分与を済ませて新たな生活をスタートさせたところで,想定外の課税に驚き,こんなはずじゃなかった,それならこのような財産分与をしなかったと紛争が蒸し返しになるケースもあり得ます。

私ども弁護士も,財産分与について,課税について懸念のあるケースでは,弁護士のみの判断ではなく,税理士に確認をして課税上の問題がないかチェックをすることがあります。税理士のチェックを経ることで,安心して残された法的問題の整理に集中することができます。専門家に確認することは大切なことですね。