離婚に関する調停等の中で,主に,妻の家事育児が不十分だったと主張したい夫が,「ゴミ出し,風呂掃除は自分がやっていた」「買い物もすることがあった」などと主張が出されることがあります。
このような主張は,正直なところ,あまり効果的とは言えないと思います。
そもそも,家事を「妻」がやるべきだという価値観が前提となっていますが,これを家庭裁判所が肯定することは難しいと思います。
また,「ゴミ出し」「風呂掃除」「買い物」などと自分がやっていた家事を個別に列挙すればするほど,「それ以外は妻」の家事だったことを逆に肯定することになるからです。私自身も,日々の家庭生活を送る中で,家事育児は「点」の概念ではなく「線」で捉えられると感じています。家事育児は,正直,区切りのないものです。例えば「料理」を作るためには,日々調味料の残量を把握して補充し,冷蔵庫に残っている食材を念頭に買い出しをしてメニューを考え,他の家事育児の合間を縫って料理をし…といった具合です。
特に女性の依頼者の方で,このような主張が夫側から出されて不安に思う方がたくさんいらっしゃいます。ケースバイケースではありますが,上記のような主張がなされたとしても,過度に不安にならず,ご自身のやっていたことをきちんと反論すべきだと思います。また,家事の負担割合だけで,離婚に関連する事件の結論が決まることは稀かと思います。不安に思う場合には,ぜひ専門家のアドバイスを受けてください。
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