嫁ぎ先などが遠方のため,離婚調停の管轄裁判所が県外になってしまう方はたくさんいらっしゃいます。
調停は,家事事件手続法という法律に基づいて運用されていますが,そこには「音声の送受信により同時に通話をすることが出来る方法」(=電話などの方法)によって調停手続を行うことができる旨を定めています(家事事件手続法258条1項、54条1項)。遠方の裁判所で離婚調停を行うことになった場合,電話会議で調停を進めることが可能です。
ただ,注意が必要なのは,離婚や離縁の調停に限り,「電話会議の方法によって調停を成立させることはできない」という点です(家事事件手続法268条3項)。そのため,相手方と離婚条件等について話し合いがまとまった場合には,調停を成立させるために,一度,遠方の裁判所に出頭する必要があります(離婚,離縁以外の調停事件−例:遺産分割など−については,電話会議の方法によって調停を成立させることが可能です)。
また,離婚の調停において,調停を成立させるために遠方まで赴くことなく,調停の代わりとなる審判を出してもらうケースもあります(「調停に代わる審判」)。ただ,調停に代わる審判をするか否かは,裁判所の判断になりますから,調停に代わる審判を行わない場合には,やはり一度出頭することが必要になる可能性もあります。
さらに昨年12月からは,Web会議での調停手続についても,一部の家庭裁判所で始まりました。今後,順次対象となる裁判所は拡大すると思います。
遠方の裁判所での離婚調停は,とても大変なのではないか,弁護士も探すことができないのではないか,と思われる方もいらっしゃいますが,電話会議の方法を適宜利用することができます。遠方の裁判所と電話会議の方法でつなぎ,こちら側では,依頼者と弁護士が同席して調停を進めること可能です。適宜アドバイスを得ながら調停を進められますから,あまり不安になる必要はありません。
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