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感染リスクに対する職場での配慮義務

新型コロナウイルスは,令和2年2月に指定感染症となり,同年4月に最初の緊急事態宣言が発令されました。もうそれから3年以上たち,私たちの生活も日常を取り戻しつつあります。今日は,そのような社会情勢ではありますが,コロナ禍における感染リスクへの対応のため,在宅勤務を希望した社員に対して,退職勧奨をした会社の対応が違法(=安全配慮義務違反があるか)かどうか争われた裁判例(東京地裁令和4年9月15日判決)を紹介します。

この裁判例で,在宅勤務を希望した社員は,もともと免疫機能障害を有しており,コロナ感染による重症化リスクの高い社員であり,日頃から,主治医より人混みや不要な外出を避けるよう指導されていたとのことです。

しかしながら,判決では,在宅勤務を求めた時期(令和4年3月初旬)の医学的知見を前提とすると,在宅勤務を拒否したことは安全配慮義務違反には当たらないとしています。当ケースは,厚生労働省から重症化リスクの手引きが出る前の時点での紛争であるため,この判決では,当時の医学的知見を基にすると違法ではない,と判断しているのです。

新型コロナウイルスに対する社会情勢の変化に伴い,感染リスクに対する会社の安全配慮義務の程度・内容も変容します。3年間の医学的知見の集積からすれば,免疫機能障害による重症化リスクを有する従業員に対しては,コロナ感染対策を講じるべき,ともいえるでしょうが,一方で,感染対策緩和の現状からすると,個々の従業員にどこまで個別の感染対策を講じる義務を会社が負うのか,という問題もあります。

ただ,大前提として,会社は,障害や疾病を有する従業員に対して,その内容に応じた合理的な配慮義務を負っているということは忘れてはいけません。コロナの規制緩和=コロナの感染リスク等の配慮不要,と直ちに言えるわけではありませんから注意が必要です。

 

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