正月で一休さんといえば、
「門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」という句があります。
ある年のお正月に、一休さんは髑髏を杖の先につけて、「この世に、この髑髏ほどめでたいものはない。ご用心、ご用心」と、言いながら街中を練り歩いたという有名な逸話があります。
せっかくのおめでたい正月なのに、わざわざ髑髏を掲げて街中を練り歩くとは尋常ではありませんが、気が変になったわけではありません。
めでたい正月であるからこそ、髑髏を見て自分の行く先を思え、「死を思え」、自分の命と向き合え、死を思ってこそ人生をしっかりと生きることができるだというメッセージでしょう。
西洋にも、メメント・モリという言葉があります。これは、「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」「死を想え」という意味を持つラテン語の言葉です。
ただボーッと生きているだけでは、人間は生きていることを実感しません。いつの間にか、生きていることの意味を見失ってしまいます。死という鮮烈なものと対比によって生きる意味が浮かび上がってきます。
アップルのスティーブ・ジョブズの言葉です。
「自分はまもなく死ぬという認識が、重大な決断を下すときに一番役立つのです。なぜなら、永遠の希望やプライド、失敗する不安……これらはほとんどすべて、死の前には何の意味もなさなくなるからです。本当に大切なことしか残らない。自分は死ぬのだと思い出すことが、敗北する不安にとらわれない最良の方法です」
この人生をどう生きるか。この一日、この一瞬をどのように生きるか。
せっかくの正月ですから、私も、しっかりと自分と向き合ってみたいと思います。
皆様も、それぞれ考えてみてください。
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