ネット情報を鵜呑みにするな

ネット情報の普及により困ったことが起きています。
それは,専門家の地位の低下です。
私たち弁護士の世界でよく起こっていることは,法律相談の際に,ネット検索が好きな相談者様が,ネットの情報を印刷して「この問題はこのネット情報によるとこうなるはずです。先生の説明は間違っていませんか」と言われてしまうことです。
なるほど,その印刷物を読むとそこに記載されている情報に誤りはありません。
では,こちらの説明が間違っているかというと,そんなことはありません。
どちらも言っていることは正しいのです。
どうして,そんなことがおこるのかというと,前提となっている条件が微妙に異なっているからです。
ちょっと図式的になりますが,印刷された情報というのは,Aという条件の下ではBとなるというものです。
それは正しいのです。
しかし,すべてのケースがAではありません。
A+Cというケースもある。
A+CだとBとはならないのです。
しかし,その違いに気づかずに,同じものと考えてしまい,結果「この問題はこのネット情報によるとこうなるはずです。先生の説明は間違っていませんか」と非難されてしまうことがあります。
とくに,紛争状態になると人間は視野狭窄となりがちで,自分にとって都合のよい情報しか見えなくなる,都合のよいように解釈してしまう傾向に拍車がかかります。
また,単純に情報を信じてしまいがちなのは,時代の風潮でしょうか。
とくにマスコミやネットなで,図式的に〇〇が儲かる,○○は正しいと前提条件を抜きに書いある場合などは,要注意です。
単純化されたものは力強く美しいですが,現実の世界は、ご存じのとおり,そんなに単純なものではないことは皆さんもお分かりのことと思います。
ネット情報は有用ですが、鵜呑みにしないことです。