弁護士は法律相談のときにこう考える

今回は,「法律相談のときの弁護士の思考法方」についてです。

皆さんも,この思考で考えれば、弁護士のように法律相談ができるかもしれません。

かなり単純化すると,法律相談のときの弁護士の思考は、以下のように表すことができます。

相談者の相談内容が,この3要素のいずれかを欠く場合には,目的の実現ができません。

法律適合性✖証拠✖相手の資力

詳しく説明をします。

「法律適合性」とは、相談者が行った契約が法律に違反していないことです。極端な例をあげますが,覚せい剤の売買契約があったとします。このように法律に違反する契約は無効です。それほど極端な契約はしないと思いますが、それぞれの業種に規制する法律があり、それ違反すると無効とされる場合があります。

次に、「証拠」です。

お互いの言い分が食い違った場合,どちらの言い分が正しいかは最終的に裁判で決着をつけるしかありません。その判断は裁判官が行います。裁判官は、まったくの第三者です。契約時に、その場にいて状況を見ていたわけではありません。そのような裁判官が正しい判断をするためには、言い分の裏付けとなる証拠が必要です。言った言わないの水掛け論ではダメです。裁判の基本的な仕組みとして,自分の言い分を認めてもらうためにはそのようなことが確かにあったのだと裏付ける証拠を出さなければなりません。それを証明しなければならない責任があります。証明できなければ負けてしまいます。法律相談には,証拠がないために負けてしまうケースがたくさんあります。そんなことのないようにしっかりと契約書などを作成するよう注意してください。

最後は、「相手の資力」です。

契約が、法律に適合し、その裏付けとなる証拠もバッチリあった場合は、裁判に勝てます。しかし、裁判に勝てるということと相手から金銭を支払ってもらえるということは別のことです。裁判に勝っても支払ってもらえないことがあります。相手が判決に従って支払わない場合には、強制執行をせざるを得ません。裁判所に、相手の財産を差し押さえしてもらい、それを売却して最終的にその売却代金から回収することになります。ここで問題は何を差し押さえてもらうかです。強制執行申立のときには、どこにあるどのような財産があるのかを具体的に明らかにする必要があります。これらの情報がなければ申し立てができません。財産がない場合,どこに財産があるのかの情報がない場合には、いくら裁判で勝っても回収できないということです。ここから,資力のない相手とは取引をしてはいけない,相手の信用情報には注意を払うべきということになります。